人 生 後 半 を 楽 し み た い

七十歳死亡法案、可決/垣谷美雨

題名に驚いてしまうけれど、面白い話だった。

超少子超高齢化で、年金制度崩壊、医療費パンク、介護保険は財源無くなり、どうしようもなくなってしまった日本。

そこで出された70歳で安楽死でする法案が可決され、施行は2年後。

例外は皇族だけ。

世界中から非難を浴びるこの法案。

日々賛成、反対の意見がテレビで交わされている。

寝たきり義母84歳の介護をする55歳の東洋子が主人公。

仕事人間の夫、エリート息子の引きこもり、家を出た介護職の娘、ブラックな働き方の息子の友人、親の介護は手伝わないけれど遺産相続の話にはくる姉妹など超高齢化社会の他、日本が抱えている問題があちこち出てきて考えさせられた。

この本の通りに70歳までしか生きられないと思うと、今の私だと残り12年切ってしまった。

思う存分楽しみたい、楽しい事しかしたくない。と思ってしまう。

主人公の年齢に近いから、介護している東洋子を応援してしまう。

介護って大変。

しかも栄養士の資格を思っているから、美味しい食事を作っているので介護される義母の方が元気で健康的。

年々大変になる介護に主人公が「介護分担の為、仕事を辞めて欲しい」と30才のまだ若い自分の娘に頼ろうとしたのはビックリ、孫まで介護退職って。

1人の老人を介護するのに、女性1人では無理な事。

娘は家を出てしまい、夫は仕事だけ、義母と引きこもりの息子の為に食事を作り部屋まで届け、、、

13年間も介護し続けている主人公は、70才死亡法案に期待してしまうね。

2年後には定年の夫もこの70才死亡法案可決で、定年を待たずに会社を辞めて世界を旅したいと言い出し、東洋子は一瞬喜ぶけどナント友達と行くという。

そして本当に行ってしまう。

妻の介護の大変さをわかっていないし、妻を労わってない。

家の中の事は女性がやると思っている男性はまだまだこの世にたくさんいそうだ。

なので、主人公が思い切って家を出る。

一瞬の家出ではなく、家を出て1人暮らしを始める。

アパートを借りるほどの家出。

なので、女性もお金を持っていないとね。

専業主婦でもアパート借りられるくらいのお金は持っていないとね。

東洋子がいなくなって、残された引きこもりの息子が困っている。

けれどそれは最初だけで、引きこもってられなくなり動き出してナントカなるし、娘も夫もそれぞれがいろいろ考えだす。

主婦がやらなければならないとか、家族でやらなければと思わないで、家族以外の力やプロの力でナントカしてもらわないと、1人を介護することが出来ない。

介護になっても、介護されっぱなしではなくよう出来る事は自分で動けるようにしないと。

終活に向けて、改めて細かく考えようと思う作品だった。

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